投資信託ビギナーの方向けの連載記事 第11回です。
連載を通して「右も左も分からない投資信託初心者が自分で投資信託を選び、ポートフォリオ運用を続けられるようになる」ことをゴールとしてナビゲートさせていただきます。
今回は投資信託選びから少し離れて、投資ビギナーがトリコになりやすい流行りの金融商品との距離の置き方について。
今回の命題(投資初心者、若葉ちゃんの質問)
あくまで例題につき、仮想通貨特有の話ではありません。
文中の「仮想通貨」を他の金融商品に置き換えても以降の話に全く影響ありませんし、あなたが近しい状況にあるのなら「若葉ちゃん」を「あなた」に置き換えてもいいでしょう。
さて、この質問にどう答えれば若葉ちゃんは納得してくれるでしょうか?
一緒に考えていきましょう。
たったこれだけの情報なのに「買わない方がいい」と言える理由
マジメな方は「実際にチャートとか市況が分からないと回答できない」と考えてしまうかも知れません。
でも回答するにはこれだけの情報で十分なんです。
質問文からうかがえる背景
まずポイントを整理してみましょう。
私は投資初心者というか、まだ始めてもいません。
買って儲かるようならこの機会に始めてみますので教えてください。
若葉ちゃんは投資を始めてもいない、投資情報にきわめて疎い立ち位置であることが分かります。
雑誌やネットでもまだ上がると言っている記事がありました。
そこまで断言するメディアが本当にあるかは微妙なところですが、若葉ちゃんが情報をご都合的に解釈したか、ご都合的な解釈を誘導するような書き方をしているリテラシーの低いメディアを信頼してしまったか、いずれかでしょう。
内容が薄めの週刊誌(こう言ってしまうともう実名出せない)なんかはそういう煽情的な記事も少なくないですからね。
初心者は投資における典型的な情報末端者
右も左も分からない投資初心者(厳密には投資初心者以前)の若葉ちゃんは典型的な情報末端者であると言えます。
※「情報末端者」は私が考えた言葉なのでよそで通じるか分かりません
仮想通貨の価格を動かすような情報が広がるには順番とタイムラグがあります。
最初に情報を熱心に集めている仮想通貨投資家を中心として、水の波紋のように広がっていきます。
次に仮想通貨に手を出していないまでも、投資情報を広く浅くキャッチするその他の投資家に広がります。
(わたくし愚者小路はこの立ち位置でしょう)
これまた波紋と同様、小さい波紋ならこの辺で消えてしまいますが、大きい波紋の場合は投資家層の外側までギリギリ広がります。
そう、若葉ちゃんのような元々投資に関心を持っていなかった層ですね。
いわば波紋が消える直前でかろうじて情報を拾い上げる人を当記事では情報末端者と定義します。
情報末端者が情報をキャッチした頃にはもうその手前でキャッチしていた層がひとしきり買った後ですので、これ以上買い手がつくことも値が上がることも望めません。
情報末端者が拾った情報で勝負する時点で敗色濃厚と言わざるを得ないでしょう。
よく「投資の世界は効率的で、どんな情報も瞬時に広がる」と言いますが、それはあくまで能動的に情報にアクセスする場合の話です。
もともと関心を持っていない層の耳に入ってくるまでには、それなりのタイムラグを伴います。
質問文中の記事とやらもどういう意図で書かれたか疑う必要があるでしょう。
情報末端者に都合よく「高値掴みのババ」を引かせるために発信された可能性もありますから。
以上のことを一言で表現することはできます。
「その情報はとっくに織り込み済みだろうから、飛びついてもムダだと思うよ」
でも投資初心者にきちんと納得させる回答としては不十分なように思えます。
そこで若葉ちゃんの目線に立った回答を考えてみることにします。
投資初心者への回答。「君の背後に誰がいるんだい?」
若葉ちゃん、はじめまして。
投信ブロガーの愚者小路と申します。
私なりの回答はこんなところです。
ご質問の件、たしかに一見すると魅力的な情報に思えるよね。
でも落ち着いて考えてほしい。
トレンドに乗っかって、パッと買ってサクッと売り抜けるのって実はとんでもなく難しいことなんだ。
若葉ちゃんが仮想通貨を買って儲けるには、若葉ちゃんの買った仮想通貨をさらなる高値で買ってくれる人がいないといけないよね。
誰も買ってくれなかったらそもそも売れないんだから。
しかも一人二人じゃダメだ。
買い手はそうとうな人数いないと、若葉ちゃんの売り注文が売買成立するか分からない。
ここポイントね。
少なくとも投資初心者でまだ始めてもいない若葉ちゃんよりも
情報のキャッチが遅くて
判断やアクションの遅い人
であるはずだ。
もし今保有している人全員が今より高値で売り抜けようとしたら、買おうとしている人と売ろうとしている人(若葉ちゃん含む)がほぼ同数いないといけない計算だ。
(ざっくり計算なのはご容赦を)
ここまでの話を踏まえて、若葉ちゃんの背後に「若葉ちゃんより情報キャッチや判断が遅い人」がいるか想像してみよう。
まだ投資の世界の右も左も分からない若葉ちゃんよりさらに右も左も分からない人ね。
まぁ、いないワケじゃないよね。
ではその人たちがこれから売ろうとしている人と最低でも同人数いると思う?
そうやって自分自身の背後を意識してみれば、流行りの金融商品に乗っかるべきかどうか答えは出てくると思うけど、どうかな?
もちろんこれから仮想通貨が値上がりするかどうかは分からない。
何か他の情報が急に発生して値上がりするかも知れないけど、そこに期待するのは間違いなくギャンブルだよ。
しかもその新たな情報すら若葉ちゃんは「ほぼ最後尾」で受け取ることになるわけだし。
今の若葉ちゃんはトレンドにうまく乗っかって儲けられるような立ち位置にいない。
残念だけど、現状は真摯に受け止めないとね。
もし若葉ちゃんが本当に投資を始めるつもりなら、目指せる方向は二つある。
一つ目は情報通になって情報を「ほぼ最後尾」から「ほぼ先頭」でキャッチできるようになること。
険しい道のりだし、誰でも実現できるわけじゃないとは思うけど。
二つ目はその場その場のトレンド情報に捕らわれないような投資方法を目指すこと。
今はなかなか想像つかないだろうけど、本来的に投資ってそういうものなんだ。
私も後者のスタンスだけど、選択を無理強いはしないよ。
愚者小路からの回答はこれで終わり。
参考になれば嬉しいです。
まとめ
投資初心者がトレンド情報を見て心がアツくなってしまう気持ちは分かります。
私だって通った道ですもの。
しかし「己の背後」を考えるうちに心が急速冷却されるはず。
なぜなら右も左も分からない初心者の「背後」にほとんど誰もいないことは初心者本人が最も自覚しているはずですから。
とりあえず流行りの情報に飛びついてしまうことさえ回避できれば御の字だと思います。
投資をする/しないも含め、これからどうするかは落ち着いて考えていけばいいでしょう。
以上、流行りの金融商品に飛びつかなくなるコツでした。
【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは
愚者小路です。
月に1回ネット証券にログインし、集計とつみたてを実施。
わずか15分程度で終わる私の投資活動の全て。
つまらない?いいえ、この程度だからこそ続くのです。
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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