投資信託ビギナーの方向けの連載記事 第6回です。
連載を通して「右も左も分からない投資信託初心者が自分で投資信託を選べるようになる」ことをゴールとしてナビゲートさせていただきます。
今回は投資の為替リスクについて解説いたします。
為替リスクが怖いから外貨資産には手を出したくないというのは投資初心者によくある誤解です。
海外に投資するなんて為替リスクが心配と思う人は少なくない
2018年に発生したトルコ通貨リラの大暴落なんかはニュースでも大々的に取り上げられ、投資に詳しくない方々にも広く認識されました。
為替レートは通貨によっては短期間で大きく動くこともあるし、ブラジルレアルみたいに10年スパンという長期でほぼ半値まで価値を下げてしまう事例もあります。
「株価がどんな上がっても為替差損で帳消しにされたら意味ないじゃないか。それなら国内だけに投資していれば安全でしょ?」
という考えは半分正しく、半分誤りです。
自身の資産を全て日本円で持っていれば、額面は変わらないので気付かないだけです。
何に気付かないのかって?日本円そのものの価値が変動していることに、です。
もしも世界に日本円と米ドルしか通貨が存在しなかったら
最初は単純な系から考えてみましょう。
この世界には2種類しか通貨がないと仮定します。日本円と米ドルだけです。
この1ドル=〇円という交換率が為替レートで、この為替レートが日々変動して利益や損失につながるのが為替リスクです。
さて、たとえば私が為替リスク怖さに、手持ちの資産100万円を全て日本円で固めてしまったとしましょう。
こうすれば確かに為替レートがどう動いても100万円は100万円のままです。
でも100万円の価値は人知れず変動していることにお気付きでしょうか。
世の中の全ての品物(材料も含む)が日本国内で作られているわけではありません。
海外で作られたものを買う時は大なり小なり為替レートの影響を受けます。
- 以前は100万円で買えていた商品が、円安後は100万円じゃ買えなくなっているかも知れません。
- 以前は100万円で買えていた商品が、円高後は100万円払ってお釣りが来るようになるかも知れません。
どちらの現象も為替レートの影響を受けて100万円の価値が変動したことが原因です。
逆に全てを米ドルで固めてしまった場合も、日本円で固めた時とは逆のタイミングで全く同じことが起きます。
では全て日本円、全て米ドルといった偏りをなくして、日本円と米ドルを半々で持ってみたらどうでしょうか。
通貨を半々で持つことで為替レートが変動しても他方の通貨が緩衝材となってくれることで全体的な資産価値が大きく変動することはなくなります。
つまり、資産価値を保持することが目的なら日本円と米ドルを併せ持つのがベストなのです。
実際は他の通貨も存在するよね
次はユーロも加えて3通貨で考えてみましょう。
日本円と直接関係ないドル/ユーロを含め3種類の為替レートが生まれます。
なかなか難しい三つ巴の関係ですが、為替レートの変動により資産価値が変動しないようにするには各通貨をどう持てばいいでしょうか?
答えは簡単。各通貨を1/3ずつ持つのです。
先進国、新興国の全通貨で考えてみよう
さらに複雑化させて、先進国・新興国全ての通貨で考えても同じことです。
さすがに種類が多すぎてもう図解できません・・・
為替レートが500以上あるんですもの。
図に書けないぐらい複雑化していても、全ての通貨をちょっとずつ併せ持つというセオリーは変わりません。
どれかの通貨に一点張りをすると為替リスクが大きくなる。
複数の通貨を併せ持つと為替リスクを軽減させられる。
※為替差益になる場合も、為替差損になる場合も併せて「リスク」です。
よく外貨建ての保険やファンドを買わされて通貨暴落で大損したというトラブル事例を聞きますが、そういうケースは総じてよく分からない通貨に一点張りをしてしまったことが原因の一つです。
(根本的な原因は他にありますが)
国際分散投資で簡単に通貨分散を図れる
ここまで世界各国の通貨に分散させることで為替リスクを抑えられることを解説しました。
しかし、実際にそれぞれの通貨で資産を保有するなんて自力でやると困難を極めます。
現実的に通貨分散を図るには国際分散投資がオススメです。
具体的には国内株式ファンド、先進国株式ファンド(日本以外)、新興国株式ファンドといった具合で併せ持つのです。
これだけで日本と他の先進国および新興国の通貨を全て保有したことになります。
逆に言うと、先進国や新興国にまんべんなく投資をしていれば必然的に為替リスクを抑えた状態になっているということです。
なので、全世界に手広く投資している人は(一点張りしている人と比べ)あまり為替リスクを気にしません。
世界経済のパワーバランス上どうしても米ドルの割合は大きくなりますが、一点張りより格段にマシですから。
日本・先進国・新興国を網羅したバランスファンドなら、たった1ファンドで事足ります。
最近はそういったバランスファンドが低コストで購入できるようになりつつありますから、検討してみてはいかがでしょうか。
参考までに日本・先進国・新興国を網羅すると通貨は何種類になるのか、インデックス投資アドバイザーのカンチュンドさんがご著書の中で解説されていました。
ところで、世界経済インデックスファンドを購入すると、あなたはいったい何種類の通貨を保有することになるのでしょうか。
出典:ラクして増やそう!バラつみ投資 やさしい投資の答えはバランスファンド✕つみたて!
答え)33通貨です。
まとめ
投資における為替リスクを抑える考え方について解説いたしました。
日本円でしか資産を持たない状況もまた「一点張り」だということもご理解いただけたかと思います。
結局のところ投資信託で手広く分散させることは為替リスク抑制にも一役買っているということです。
冒頭で述べたトルコリラやブラジルレアルのように、為替リスクは怖いものだというのは間違いありません。
怖いなりに向き合ってリスクを制御するには、分散投資が効果的なのです。
【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは
愚者小路です。
投資・投機の世界には怪しい情報商材がはびこっており、今後もなくなることはないでしょう。
そういった情報商材の被害者が集団訴訟を行えるプラットフォームがあることを最近知りましたので、記事にしてみます。
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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