今日はつみたて投資に関する検証企画をお届けします。
基準価額が最も安くなりがちなのは毎月何日なのか分かれば、つみたて投資のパフォーマンス向上に一役買えるかも?
投資経験の長い人はおおよそ答えは分かっているでしょうが、一緒に答え合わせしてみましょう。
はじめに:つみたて投資は毎月何日に実行するのが最も有利なの?
毎月一定額で投資信託を買い付けるつみたて投資では、基準価額が安くなっている時ほど多くの口数を買うことができます。
多くの口数を買えるだけでなく、基準価額が上がった時の差益(キャピタルゲイン)にも寄与するわけですね。
多くのネット証券で対応しているつみたて投資は毎月何日に買い付けを行うかを指定できます。
買い付け日を自分で指定できる以上、少しでも安い日に買い付けたいと思うのは当然の思考ではないでしょうか。
でも「少しでも安い日」が月初なのか半ばなのか月末なのか、検討もつきません。
そこで今回は主要な資産クラスのインデックスファンドをモデルに「少しでも安い日」があるのかを検証してみます。
こういうナンセンスな検証をあえて本気でやってみるのも愚者の役目です。
結果だけ気になる方はスキップして結果から読み進めてください。
【事前準備】モデルファンドの基準価額データを入手しよう
検証対象とするのは下記の8ファンド。
いずれもスタンダードな資産クラスのインデックスファンドです。
基準価額集計対象ファンド | |
---|---|
国内株式 | eMAXIS TOPIXインデックス |
国内債券 | eMAXIS 国内債券インデックス |
国内REIT | eMAXIS 国内リートインデックス |
先進国株式 | eMAXIS 先進国株式インデックス |
先進国債券 | eMAXIS 先進国債券インデックス |
先進国REIT | eMAXIS 先進国リートインデックス |
新興国株式 | eMAXIS 新興国株式インデックス |
新興国債券 | eMAXIS 新興国債券インデックス |
モーニングスターから基準価額データをCSVで取得することができます。
(各ファンド名のリンクからダウンロードページへアクセスできます)
今回は2011/01~2020/12の10年分で計算しました。
ExcelのRANK関数で基準価額の月間ランキングを算出する
今回の検証でキモになるのはExcelのRANK関数。
指定範囲の中で対象の値が何番目になるのか、すなわちランキングを取得する関数です。
数式だけではピンとこないので、前述の基準価額データから国内株式の最初の1か月で使い方を解説します。
この場合、2011/01/04時点の基準価額10349円は2011/01の中で何番目に安いでしょうか。
RANK関数を使うと簡単に求めることができます。
=RANK(F2,$F$2:$F$20, 1)
※F2~F20の範囲内でF2の順位を求める。ランキングは昇順(値が小さい順)。
最初の引数(F2)は2011/01/04の基準価額、2番目の引数($F$2:$F$20)はランキングの集計範囲(要は2011/01の基準価額すべて)、3番目は集計順です。
今回は最安日を1位としたかったので集計順は1(小さい順)にしています。
※大きい順での集計なら3番目の引数は省略できます
この数式を2011/01の毎営業日に引き伸ばすとこんな感じです。
この月間ランキング集計をさらに10年分まで引き伸ばしてみます。
120か月分の月間ランキングが取得できます。
※RANK関数の集計範囲(2番目の引数)が月ごとに異なるため、オートフィル頼みは出来ません。
このままでは日々の月間ランキングが分かっただけなので、次に毎月○日の平均月間ランキングとして集計しなければなりません。
AVERAGEIFS関数で日ごとに集計、平均月間ランキングを算出する
毎月○日の平均月間ランキングを集計するにはAVERAGEIFS関数が便利です。
たとえば毎月1日の平均月間ランキングはこんな数式で取得できます。
=AVERAGEIFS(G:G,E:E,”01″)
E列(日)が”01″の行のみG列(基準価額)の値をピックアップして平均を出してくれます。
これを31日分集計すれば、日ごとの平均月間ランキングが分かります。
さあ、気になる答えはこのあと。
あなたはどう評価する?資産クラス別平均月間ランキング
スタンダードな資産クラスのインデックスファンドの平均月間ランキングをグラフでお見せします。
数値の見方をおさらいしておきましょう。
1か月の営業日は20日前後なので、「平均月間ランキング」の値が10位前後なら特に有意性はないということになります。
これが答えです。
あなたにはどう映りましたか?
疑問を投げかけるだけでは少し寂しいので私なりの考察を少し述べます。
愚者小路による考察
平均月間ランキングの振り幅は8位~14位。
概ね10位前後に収まっていたのではないかと思います。
ざっくり評価するならば、誤差程度ってところでしょうか。
もし意地になって傾向を見つけ出すとしたら、月末ほど平均月間ランキングがわずかに高い(すなわち基準価額が高くなりがち)資産クラスが多かったことに気が付きました。
逆に月初がピークだった資産クラスは存在しませんでした。
よくよく考えると基準価額がわずかに月初<月末となりやすいのは当然のこと。
長期の期待リターンがプラスなら、今年<来年となる確率はそうならない確率よりそれなりに高いでしょう。
さらに狭い視野で捉えると月初<月末となる確率はそうならない確率よりほんのわずかに高いでしょう。
短期的には需給バランスで相当なノイズが入るためほぼ無視できるぐらいの「ほんのわずか」ですけど。
ほぼ誤差程度と評価するならば積立日にこだわる必要はありません。
月初<月末と評価するならば、ハンパにタイミングを計るより買える資金ができた時(お給料日とかね)に即買いが妥当でしょう。
※月末<次の月初となるでしょうから、わざわざ次の月初とか待つのはナンセンスですよ
どっちにしても有利な積立日なんて考えるだけムダだということです。
今回あえて本気の検証結果を突き付けたことで、あなたの迷いを少しでも回避できたら幸いです。
つみたて投資に必要なのは2つだけ。
- なるべく多くの投資資金を投入すること
- なるべく長く市場に置き続けること
いつ投じるかはそれほど問題ではないし、いつ投じるのが正解だったかは後からしか分かりません。
タイミングの呪縛から逃れて「つかれない投資」を実践できるようになりたいものです。
さいごに:実際に作成した集計シートのダウンロードはこちらから
今回はRANK関数式の生成が手作業では無理があったのでマクロを利用しています。
(それぞれに集計範囲の異なる120か月×8資産クラスなんて手作業でやってられません)
なので配布はxlsmファイルとなっていますが、マクロ無効化したままでも結果の詳細はご覧いただけます。
あらかじめご了承のうえでのご利用をお願いします。
また、このシートによって発生したいかなる損失・損害について、わたくし愚者小路は一切の責任を持たないことをあらかじめご了承ください。
以上、つみたて投資のタイミング検証でした。
【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは
愚者小路です。
債券不要論、債券の死・・・
低金利下で忌避されがちな債券ファンド。
にも関わらず愚者小路は債券を25%組入れています。
合理的な理由じゃないんですけどね。
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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