前編に引き続き、銀座・有楽町エリアの人たちがコロナ感染リスクをどの程度アップデートしているのか調べていきます。
後編は中央通り近辺から有楽町エリアです。
外国人のいない銀座エリアってどんな感じなのでしょうか?
銀座中央通りの人通りは7割程度減(愚者小路体感)
銀座で最もにぎわう中央通り。
コロナ前は外国人が非常に多いうえに連中が急に立ち止まって自撮りとか始めるので私のような愚鈍には大変歩きにくい場所でもあった。
ぶつかりでもしてトラブルに発展すると怖いし、「金持ちケンカせず」が外国のお金持ちにも当てはまるか分からないじゃないですか。
三越の前、銀座四丁目交差点ではそれなりに人混みは見られたものの、コロナ前と比べたら笑ってしまうぐらい人が少ない。
いやはや、実に歩きやすい。
銀座四丁目交差点から歩行者天国へ足を向けた。
こちらも普段の銀座からは考えられないぐらい人が少なく、歩行者天国にする意味すら危ぶまれるレベルだった。
歩行者の顔ぶれをチラチラ見ていると、大半は日本人。
そうか、これが銀座から外国人観光客が消えた姿なのか。
外国人もわずかにいるのだが入国制限のことを踏まえると、現在日本に居住している人たちと考えるのが妥当だろう。
表題で述べた通り、私の体感では外国人観光客がいないことで人出は7割減といったところ。
外国人観光客の羽振りを考えたら金の動きは7割減では済まないだろう。
日本人が出歩くようになったからといって、銀座の店舗や施設が速やかにフル回復するほどの金が動くかと言えば決してそんなことはないように思う。
外国人観光客が戻るまでどうにか生き長らえてほしいところだが、入国制限の緩和にはまだ相当の時間がかかるだろう。
デパ地下に潜入してみよう
表の人通りはだいたい把握できた。
次はデパ地下で買い物客の流れを見てみたい。
中央通りにある百貨店に入り、地下行のエスカレーターに乗る。
エスカレーター脇には「ディスタンスを守って一定距離空けて乗りましょう」といった注意が掲示されているが、皆一切お構いなしでビッチリ詰めて乗っていた。
店員も近くで見ていたが特に注意する様子はない。
地下の総菜売り場やお菓子売り場の人口密度は愚者小路感覚でコロナ前の5割程度。
全体的に人の少なさは感じるが、人気店ともなればそんなことは気にならないようだ。
わらび餅の店前に行列ができていた。有名店なのか、できたてを買うための行列なのか。
行列には先のエスカレーターよりもギュッと間隔を詰めて客たちが並んでいた。
「最後尾こちらです」のプラカードを持った店員も、並んでいる客たちも特に気にしていない様子だ。
店舗のスペースも限られてるし、何より他の店舗に迷惑かけられないから密集させざるを得ないのだろう。
少なくともこのフィールドではソーシャルディスタンスの概念は形骸化している印象を受けた。
別にソーシャルディスタンスなんて取る必要ないと言いたいわけではないし、取らないことを非難したいわけでもない。
ソーシャルディスタンスを重要視しない店舗と客でデパ地下が構成されていた、ただそれだけのことだ。
有楽町駅を抜け家電量販店へ
なかなかカオスな夜の有楽町駅前
数寄屋橋交差点からルミネを抜け、有楽町駅に着いた。
有楽町駅前は路上飲みをする人の姿が。
仕事終わりの会社員だろうか。
目の前のコンビニでおつまみと酒を買い、タバコを吸いながら仲間とワイワイ語りあっている。
安く済むだけでなく、健康増進法改正の影響を受けないからタバコで窮屈な思いをしなくて済む。
(別にそこは喫煙所ではないどころか路上喫煙禁止のマークが貼り出されているのだが、誰の管理下にもないため吸いたい放題なようだ)
脇に目をやると、酒盛りから少し距離を置いて数人のホームレスが寝転がったり座ったり自販機の釣銭返却口をチェックしたりしている。
まるで社会から背を向けて寝ているかのようなその姿は、今たまたまホームレスでない私にとって身につまされる思いだ。
今説明した人たちが全員ノーマスクである。
夜の店やら飲食店やら、口うるさい規制をたくさん強いるわりに路上はまるでノータッチ。
感染対策の片手落ち感もまた、現在の銀座・有楽町エリアを形作る「過渡期の現実」なのだろう。
立ち飲みエリアを通り過ぎ、有楽町駅向こうの家電量販店へ向かう途中、知らない男性が近づいてきた。
「すいません、アンケート取ってるんですがお時間よろしいですか?」
ソーシャルディスタンスがどこ吹く風になっている事と、私がいかにもカモっぽい顔をしている事がよく分かった。
家電量販店の本音と建前
最後に有楽町駅からほど近い家電量販店へ向かった。
入口には大きな体温モニターが検知されている。
自動的に客の姿を識別し、検温結果を表示してくれる優れものだ。
モニター脇にはスタッフが待機しているが、体温の高い客が来たら本当に入店を止めるかは分からない。
この店には入口が2か所あり、裏口にも同様のモニターは設置されている。
が、裏口にはスタッフが常駐していないため体温が38度でも39度でも入店は可能そうだ。
(もしかしたら私が見た時だけたまたまスタッフがいなかったのかも知れない)
1階のスマホ売り場で展示品のスマホをいじっていると、たちどころにスタッフが距離を詰めてくる。
「何かお探しですか?」
距離にして50センチ程度、明らかにソーシャルディスタンスと呼べる距離ではない。
今に始まった話じゃないけど、家電量販店のスマホ売り場ってスタッフの過剰供給感がハンパないよね。
ここまでの状況を理解したうえで、店内の掲示をご覧いただこう。
表向きのアピールと実態の乖離をどう受け止めればいいのか分からないが、少なくともここに来るような客はある程度リスク許容はできているはずだ。
(同店のネット通販もあるわけだし、コロナリスクを許容しきれないならネットで買えば済む話だ)
やっかいな制限がたくさん強いられている中で営業を続けていくには多少の本音と建前の使い分けは必要なのだろう。
取材を終えて
ソーシャルディスタンス意識の希薄化
銀座・有楽町エリアから、人々のコロナリスク許容度を探ってみた。
特に印象に残ったのは再三にわたり述べてきたソーシャルディスタンスの形骸化だ。
都内で生活していこうとしたら、ソーシャルディスタンスなんて到底維持できない事実が人々の暗黙の了解になっているのではないだろうか。
店舗のレジ行列や飲食店の座席といった目につきやすい所のディスタンスは取られているが対策があまりに局地的過ぎる感は否めない。
ディスタンス対策は「頭隠して尻隠さず」どころか「つむじ隠して残り全部丸見え」ぐらいバランスを欠いているが、都内で生活していこうとしたら割り切る必要がある。
もうマスクさえしてれば、そして熱さえなければディスタンスのことは目をつぶろうじゃないか、というところに現実的な着地点を見出しているとも言える。
そもそも都心で仕事をする人の大半は電車やバスといった公共交通手段で通勤している。
既に乗車率がコロナ前の7割程度(愚者小路体感)に戻っている通勤電車がなぜか叩かれなかったこともディスタンス意識の希薄化を加速させる一因になったのではないだろうか。
(と同時に、通勤電車の乗車率からテレワークがどの程度普及してるのかも大方予想がつく)
あれだけの密がお咎めなしなら大抵のことは許容されても不思議ではない。
混み合った電車に揺られ都心へ移動し、
飲食店や施設内で局地的にお行儀よくディスタンスを守り、
混み合った電車に揺られて帰るのだ。
ディスタンス意識が希薄化しない方がおかしいように思えるが、いかがだろうか。
コロナリスク許容度を再評価してみよう
今回レポートしたのは都内のコロナリスク許容度であり、「これが普通だ」「これに従うべき」と主張する気はない。
株式の価格変動リスクを許容できない人は株式市場の外にいるしかないのと同じように、都内のコロナ感染リスクを許容できない人は都内の施設/人から距離を置くほかない。
(都内に出入りしてるかも知れない人全員と距離を置こうとすると仙人みたいな暮らしになるだろうが、仕方ない)
本人の持病や家族構成によってコロナの感染リスクの評価も異なるだろう。
これまた投資と同じで、各々のリスク許容度に見合った範囲で行動することが大事だし、各々のリスク許容度を他者に強要しないことはもっと大事だ。
コロナに対するリスク感覚がちょっと話にならないぐらい噛み合わない人に出くわしても「あぁ、この人と自分はリスク許容度が違うだけなんだ。良い悪いの問題じゃないんだな」と割り切れれば、この過渡期もいくらか生きやすくなるのではないだろうか。
コロナに限らずリスクとは全て回避できるものではない。
銀座・有楽町エリアの様子はまさにリスク軽減とリスク許容をハーフ&ハーフで推し進めていく過程の姿であると私は感じた。
過程であるが故にアンバランス・滑稽・片手落ちが際立ってしまう場面も多々あったが、そこは大目に見ようじゃないかと評価した人々によって形成されているのだ。
私も都内に通勤している以上、これからもコロナに対してリスクテイクせざるを得ない日々が続くだろう。
私にとってコロナ感染リスクも人生における数多いリスクの一つでしかない。
国内におけるリスクの大きさも概ね分かった以上、全てを犠牲にしてまで回避すべきド級リスクでもないと判断している。
以上、銀座・有楽町エリアの実態レポートでした。
【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは
愚者小路です。
投資信託はプロが運用してくれるから初心者でも安心。
よくある通説に私はかねてから得体の知れない違和感を抱き続けてきました。
最近この違和感の正体をようやく人様に説明できる程度になってきました。
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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