今回は証券会社の店頭に来店予約を取り付けて相談しに行ったらどういう提案をいただけるのか、リアルな体験レポート(前編)をお届けします。
相談時間はおよそ80分、けっこうな長丁場でした。
加えて担当者様がたくさんお話されたので前後編に分けました。
前編は来店予約⇒到着⇒株式や投資信託の基本的説明までまとめます。
- 第1回
- 第2回【前編】証券会社の店頭で相談したらこうなった!(今ココ)
- 第3回
- 第4回
- 第5回
- 第6回
はじめに:登場する金融機関・人物
特定の証券会社・担当者を非難する意図はないため、いずれも仮名で記載する。
証券会社の店頭なんてどれも似たようなものだろうから、特定に意味はないと考えてのことだ。
なお、口座開設や買付の意図なく冷やかし目的で行ったのではと邪推される可能性もあるので明言しておく。
私にとって納得できる提案であり、私のポートフォリオに加える価値のある商品だと判断できれば、私は別に購入しても良かった。
そういう腹積もりで行ったのだが、残念ながら納得に至らなかっただけである。
【相談数日前】来店予約の折り返し電話でいきなり投資金額を聞かれる
かりそめ証券のサイトにて来店予約をしたところ、数日後に電話がかかってきた。
本人確認と相談内容の認識合わせ、来店時刻の調整をしたいとのことだった。
簡単なやり取りでそれらを決定した後、こんな質問があった。
「投資金額はおいくらぐらいを想定されていますか?」
私は少し面食らった。
今は出先なのでそういうデリケートな質問には口頭で答えたくない、と回答しても相手は一歩も引かない。
「金額の規模によって提案内容が変わるかも知れないから」とか「詳細な情報を担当者に申し伝えたいから」とか、しぶとく食い下がる。
収拾がつかなくなったので、しぶしぶ「じゃあ1000万円で」と答えざるを得なかった。
もちろん咄嗟に出た適当な金額だ。
「デリカシー」なんて求めるだけムダな相手だったようだ。
先回りして結論を言っておこう。
ここで答えた投資金額が相談内容に有効利用されることはなかった(前述の注釈を考えれば当然のことだ)。
おそらく「見込み額1000万円」という皮算用に使っただけなのだろう。
最後に一つお願いをされた。
相談後にそのまま口座開設の手続きが取れるよう、印鑑や身分証明書を持参してくるようにと。
【相談当日】シャッターの閉まった土曜の店舗で
予約を入れたのはある土曜日の午前中。
私はかりそめ証券へ向かった。
道すがら、先日の電話で印鑑と身分証明書を持参するよう言われていたことを思い出し、誰に聞かれるでもなくつぶやいた。
あぁ、「うっかり」忘れてしまった。
かりそめ証券の前に到着した私はキョロキョロと入口を探した。
土曜は本来営業をしていないためかシャッターが閉まっているのだ。
事前に聞いていた担当者の携帯にワンコール入れるとシャッターが開いた。
開きかけのシャッターを潜り抜けて出迎えてくれたのが本日の担当者、仮屋崎氏だ。
見た感じ30代と思しき男性で、彫りの深い顔つきと落ち着いた声から誠実そうな印象を受けた。
店内に通された時点で他に客の姿はない。スタッフも仮屋崎氏しか見当たらない。
完全なマンツーマンの貸し切りである。
席につくと白い紙袋を手渡された。
中を覗くとタオルや布巾が入っている。金融機関定番の粗品だ。
加えて、仮屋崎氏は「ぜひこちらにご自由にメモをお取りください」と一言添え大学ノートを差し出してきた。
なるほど、自由にメモを取って構わないのか。
私はカバンからノートPCを取り出し、「こちらでメモをするのでノートは結構です」と返した。
手書きではメモが到底追い付かないことは、あらかじめ想定済だ。
株式とは何か?どうなったら株価は上がるの?
粗品のやり取りを終えた仮屋崎氏は落ち着いた調子で語り始めた。
当たり障りのない内容につき、要約する。
【要約】
株式を買うことは企業を買うこととほぼイコールである。
利益の上がっている企業の株式は企業価値の上昇に伴って需要が増し、株価の上昇につながる。
つまり利益の上がらない企業の株式なんて買っても意味がない。
買ってから株価が下がる株というのはだいたい実体を伴わない企業なのだ。
国内株式とアメリカ株式では取るべき戦略が異なるそうだ
仮屋崎氏は手元のPCで日経平均とNYダウの比較チャート(過去30年分)を開いた。
右肩上がりのNYダウ、バブル崩壊後からの回復度合いが比較的鈍い日経平均。
きわめて対極的なチャートである。
仮屋崎氏:
日本株を買われるとかだったら毎日株価を見て値幅を取っていくシステムの方が儲かりやすいのかなと思います。
長期的に見て投資をしていくとなると日本株はあまり割が良くないなという印象です。
あまり割が良くない状況で大きなリターンを狙うなら、ZOZOみたいに買収されそうな企業の株を買ってみるというのも面白いのかなという風に思います。
総じて日本株式は長期投資に向かないので、トレード的に値幅を取りにいこうというのが仮屋崎氏の主張のようだ。
仮屋崎氏:
愚者小路様はまだお若いので、長期投資にあたりリスクを取れる資産と安定性のある資産を組み合わせて考えるのもいいですね。
退職金が入ってくるようなご年配のお客様はこれから取り崩しがベースとなっていくので、そういった方には長期投資というよりどちらかと言うと安定的な投資、たとえば年率2%程度の債券をご提案させていただくことはあります。
あぁこの辺でリスク許容度に関するヒアリングが入るのかなと思いきや、話題は特に発展せず。
そのまま他の海外諸国の話に流れてしまったのはいささか残念に思えた。
仮屋崎氏:
他の国の市況は正直あまり芳しくありません。
まず中国は中国製造2025の一環で「情報技術関連の企業を立ち上げアメリカを抜いていこう」と宣言したことによってトランプさんと揉めています。
今後そういった米中貿易戦争による影響は一つの不安材料です。
インドは成長しているものの値動きが激しく、安定運用には向きません。
日本は株価の上昇が期待しにくい。中国インドもそれぞれ不安要素がある。
結局株式をやるなら現状アメリカ一択だと言わんばかりの姿勢に仮屋崎氏の好き嫌いが何となく窺えたような気がした。
投資信託を持つ人はリテラシーが高い?
株式や世界情勢に関する外堀が埋まり、ようやく投資信託の話が始まった。
仮屋崎氏:投資信託とはいったい何かというイメージはおありですか?
愚者小路:投資信託はプロが選んでくれるので私のようにどれ選んでいいか分からない初心者でも安心できるんじゃないかというイメージぐらいです。
やっと私に発言のタイミングが回ってきた。
が、一言答えた後は当分仮屋崎氏のターンが続く。
仮屋崎氏:
アメリカでは個人資産の半分ぐらいは投資信託なんです。
投資信託がほぼスタンダードになっているわけですね。
日本国内では値幅を取る売買が多いため個別株が好まれる傾向があります。
日本で投資信託を買っている方はアメリカ、中国、インドなどにも手広く投資するリテラシーの高い方が多いですね。
投資信託で国際分散投資(?)をしている人を「リテラシーが高い」と言ってしまうと個別株をやっている人が気を悪くするかも知れない。
仮屋崎氏の発言の意図を私なりにフォローしておこう。
かりそめ証券の客層は圧倒的に高齢者が多く、若年層は少数派だと認識している。
(若年層が少数派でなければ土曜の相談受付をもっと頻繁にやっているはずなのだ)
高齢者は生きてきた時代背景も手伝って
「投資=タイミング良く売買すること」もしくは
「投資=一気にドカーンと儲けること」という前時代的な山っ気に満ちたイメージを抱いている人も少なくない。
そんなイメージにマッチする道具は投資信託ではなく個別株なのだ。
その陰で一部の人が日本/海外問わず投資信託を用いてリスクを抑えつつ長期的に保有を続けていれば、それは「リテラシーが高い」と映っても無理からぬことだ。
この後、投資信託とは何かという解説があったのだが、特に可もなく不可もない教科書的な解説だったため割愛する。
ここまでは多少首をかしげたくなる説明はあったものの、大筋で見れば文句言いたくなるほどではなかった。
しかし、コストの解説あたりから少しずつ「嘘」が侵食し始めてきたのだ。
そんなキナくさい布石を打ちつつ、続きは後編に譲る。
【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは
愚者小路です。
証券会社の相談で少しずつ侵食してきた「嘘」とは?
虚実を織り交ぜた説明の末にオススメされたファンドとは?
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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