今日のテーマはExcelで作るリバランス簡易計算機。
計算方法もExcelシートも非常にシンプルなので、これをベースに色々拡張してみると自分だけのリバランス計算機が出来上がるでしょう。
はじめに:リバランスは必要?どんな時に行うの?
値動きの異なる資産を併せ持つポートフォリオ運用では、日々の価格変動によって保有割合が少しずつ変わってきます。
少しずつズレてきた保有割合をどこかのタイミングで「えいや」と戻す行動をリバランスと呼びます。
具体的に言えば、価格上昇(または他の価格下落)により相対的に保有割合の上がった資産を解約(売却)し、価格下落により相対的に保有割合の下がった資産を買付します。
そうやってバランスを取り直す事で、自身が背負うリスク量を一定に保てるようになります。
と同時に価格の下落した資産を買い増しすれば、下落が収まって回復に転じた時に利益の源泉となってくれる効果も期待できるのですが・・・
これは確定した効果ではないので「そうなったらラッキー」ぐらいに考えておきましょう。
解約した資産がさらに上がり、買い付けた資産がさらに下がる場合もありますから。
リバランスを行いたいタイミングは2種類。
1つ目は年1回か2回ぐらいの定期リバランス。
たとえば年初に資産配分のズレをチェックし、ある程度ズレていたらリバランスを実施します。
2つ目は大暴落や大暴騰があった時のスポットリバランス。
定期リバランス以外のタイミングで資産配分がズレすぎたらスポット的にリバランスを実施します。
あくまで資産配分比率を保つ目的であり、短期売買的な「利食い」「ナンピン」と呼ばれる行動ではありません。
リバランスの基礎知識はこれぐらいにして、ここからその計算機をExcelで作っていきましょう。
リバランスの核となる計算式
ポートフォリオ運用はこの資産が○%、この資産は×%、この資産は△%といった具合にベースとなる比率を決めています。
例として私の資産配分で解説します。
資産額がいくらになろうと、この配分比率通りになっていればそれが「あるべき資産額」です。
私の運用資産の評価額が1000万円だったとすると、下記のような金額になっていれば配分通りと言えます。
でも運用していれば価格変動がありますから「現状の資産額」は「あるべき資産額」を上回る事も下回る事もあります。
仮にリバランス時の「現状の資産額」が下図のようになっていたとします。
この時「あるべき資産額」が「現状の資産額」を上回っていたら、その差し引き額を買い付ける必要があります。
逆に「あるべき資産額」が「現状の資産額」を下回っていたら、その差し引き額を解約する必要があります。
実はこれだけ。数学でなく算数のレベルです。
さぁExcelに落とし込もう
入力項目編
まずアセットクラス名、保有比率を入力する欄が必要です。
アセットクラス名は基本的には「国内株式」「先進国株式」といった具合ですがバランスファンドを複数持っている場合はそうもいかないでしょう。
何なら「オールカントリー」「8資産均等型」とかバランスファンド名を入れるのも仕方なしです。
アセットクラス名と保有比率はベースとなる情報で、比率の変更さえなければ来年も再来年もそのまま使えます。
次に「現状の資産額」を入力する欄を作ります。
リバランス時点の評価額をここに記入します。
ここまでが入力項目です。
計算項目編
次は「あるべき資産額」。
これは「現状の資産額」の合計値に各アセットクラスの保有比率を掛けて算出します。
ただしここで一つチェックを設けておきましょう。
というのも、保有比率の欄が自由入力なので合計が100%になっているか分からないからです。
100%を上回っていても下回っていても計算結果は不正となりますから算出を取りやめないといけません。
「あるべき資産額」の算出式をExcel数式風に表現してみます。
IF(SUM(各保有比率) = 100, その資産の保有比率 × SUM(「現状の資産額」), “-“)
緑部分の条件、つまり保有比率の合計が100%であったら赤字部分で「あるべき資産額」を算出します。
合計が100%でない場合は青字部分でハイフン表示となります。
こうすればハンパな入力値で算出してリバランスを間違える心配がなくなるわけですね。
最後に「あるべき資産額」と「現状の資産額」の差から買付額/解約額を判断します。
金額は「あるべき資産額」と「現状の資産額」の差を絶対値で表示します。
リバランス金額部分の算出式をExcel数式風に表現します。
ABS(「あるべき資産額」 – 「現状の資産額」)
買付か解約かは「あるべき資産額」と「現状の資産額」の比較で判断しましょう。
「あるべき資産額」>「現状の資産額」なら買付。
「あるべき資産額」<「現状の資産額」なら解約。
イコールの場合はリバランス対象ではないので何も表示しません。
買付/解約の判定式をExcel数式風に表現します。
IF(「あるべき資産額」>「現状の資産額」, 買付, IF(「あるべき資産額」<「現状の資産額」, 解約, 何も表示しない))
IFが2重に入っているのが少しややこしいですが、これで完成です。
完成品はもう少しチェックを設けているのと、一目で分かるよう条件付き書式で買付を赤、解約を青でカラーリングしています。
実際の売買オペレーションは解約(青系)を先におこなって、お金が残高に反映されたら買付ね。
計算シートのダウンロードはこちらから
可能な限りシンプルな作りとしたので、必要に応じてどんどん拡張していってください。
私でないと直せないプログラムではないので、不備や不具合などあれば自力で調べて解決するようお願いします。
また、このシートによって発生したいかなる損失・損害について、わたくし愚者小路は一切の責任を持たないことをあらかじめご了承ください。
さいごに:色んなカスタマイズができるはず
今回配布したファイルは必要最低限の機能なので、各自好みでどんどんカスタマイズできます。
たとえばこれに積み立て/取り崩しの機能を追加して、積み立て/取り崩ししたうえでリバランス計算できるようにしたり。
もしくは一定のズレ幅だったらリバランス不要とするよう判断する項目を加えてみたり。
あなたの運用「だけ」に最適化されたリバランス計算機を作ってみてはいかがでしょうか。
以上、リバランス用簡易計算機でした。
【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは
愚者小路です。
投資詐欺に気を付けよう。なんて言っても引っ掛かる人はそうそういなくならないものです。
警察庁のレポートによると利殖勧誘事犯(投資詐欺系の事犯)相談数は年々増えているだけでなく、被害者の層が明らかに変化してきているのです。
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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