銀行の定番『預金＋投資信託』抱き合わせテンプレを徹底ネタバレ

銀行の投資信託販売はとても厳しい状況にあります。
ご存知NISA流行りからの低コストインデックスファンドが多くの投資初心者の耳にも入ってしまっているからです。
銀行が得意とする（？）高コストファンドを売るにはもはや正攻法など使っていられません。
そんな「何でもアリ」の一手法として定番となっている『預金＋投資信託』抱き合わせテンプレについて解説してまいります。

『預金＋投資信託』抱き合わせテンプレとは

定期預金と投資信託の購入をセットで申し込んでもらうと定期預金の金利がメチャクチャ優遇してもらえるプランを指します。
当記事で特定の名称は出しませんが「銀行 預金 投資信託 セット」でGoogle検索すれば実例は山ほど出てきます。

具体例を挙げてみましょう。
下図のように定期預金50％、投資信託50％の形で申し込むと定期預金が年利5％になるといった具合です。

一般的な定期預金の金利が1％にすら全然届かない背景を鑑みると、年利5％の異常性がありありと分かるでしょう。
どれだけぶっ壊れ金利なんだって話ですね。

こんなすごくいい話に思えるこんなプランを作ってしまって銀行は本当に儲かるんでしょうか？

赤字覚悟の徹底ご奉仕！ではないんだよなぁ・・・

不思議な事にこの条件でも「銀行は」儲かってしまいます。
まずはこの定期預金金利5％がいかにハリボテなのかを解説していきましょう。

多くの場合、定期預金の高金利適用期間は3か月で切られています。
つまり年利5％はたった3か月しか機能しないわけです。（以降は通常の定期預金金利）
年利5％といってもその3か月分はたったの1.25％、税引き後の手取りは1％程度です。

定期預金側だけ見ると銀行は1％程度の損失に見えます。
ところがもう片方の投資信託では購入時手数料を1％～3％取れてしまいます。
投資信託で1％以上取れてしまえばご奉仕金利もペイ出来て、銀行側は確実に儲かるわけです。
（細かく言えばさらに信託報酬も入ってくるので儲けはさらに盤石になる）

対象となる投資信託は大抵指定されていて、当然ながらノーロードの低コストインデックスファンドなんて選ばせてくれません。
どういうのが指定されるかは完全お察しレベルです。
ここまでの仕組みを作らないと誰にも買ってもらえないファンドと考えるのが自然でしょう。
皆に選ばれるファンドであれば放っておいても売れ続けるのだから。

なので「良いファンドであればそのプランを利用してもいいですよね？」という意見があったとしても、申し訳ないと思いながらも容赦なく却下します。
良いファンドはそもそもこういう仕組みに組み込まれません。

蟻地獄はこれで終わりはしない

銀行の思惑も考慮しつつ、プラン全体で損得を考えられないような情報弱者を銀行は喉から手が出るほど欲しがっています。
私が銀行の人間ならこう考えるでしょう。

• 同じような手段で搦め取り続ければ顧客は無自覚にお金を吐き続けてくれるだろう。
• この定期預金分だけ現金が遊んでいる事が明確なのだから、ゆくゆくはこの分も何かしらのファンドを買わせよう。

このプランに手を出す人は「次の一手」に応じてくれる可能性が高いですから、銀行にとっては大変都合の良い「次にもつながる上客」なわけです。

最初に『預金＋投資信託』抱き合わせテンプレを考えた人は本当に頭がいいと思います。
尊敬はしませんが。

まとめ

『預金＋投資信託』抱き合わせテンプレをネタバレしました。
昔からある古典的なボッタクリ＆搦め取りメソッドですが今でもなくならないという事はそれだけ効果を発揮し続けているのでしょう。
このプランのまま猛威を振るうかも知れませんし、少し手口を変えた変異種として新たに拡大するかも知れません。
（感染症みたいだな）

うまい話を額面通り受け取らず損得を冷静に考えられる「健全な猜疑心」は決して手放さないようにしてください。

【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは

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