投資信託ビギナーの方向けの連載記事 第20回です。
連載を通して「右も左も分からない投資信託初心者が自分で投資信託を選び、ポートフォリオ運用を続けられるようになる」ことをゴールとしてナビゲートさせていただきます。
今回は長期投資の有利な点と不利な点について。
私は完全に長期サイドの立ち位置ではありますが、実は長期投資の優位性ってそんなに数多くないんです。
しっかり考えても、思い当たるところはたった2点。
10も20もなくて良かった良かった。
はじめに
あなたは長期投資に対して短期投資という言葉を聞いた事があるでしょうか。
私はありません。
長期投資の反対は短期売買と表現されます。
もしくは投資(インベストメント)に対して投機(トレード)とも呼ばれますね。
本来的に投資とは長期で行うものという暗黙の意味付けがあるのでしょう。
それはごもっともな話で、企業に供給されるリスクマネーが利益に変換されるまでそれなりの年数は必要です。
企業価値の向上が一朝一夕で成し遂げられるはずはありませんから、投資=長期は半ば当然と言えるでしょう。
企業価値の向上に期待する長期投資、売買バランス(これから買いが増えそうか売りが増えそうか)の変化に期待する短期売買。
当然どちらを選ぶも個人の自由です。
ここで解説するのは長期投資を是とするわたくし愚者小路による見解です。
長期派の一意見として参考になれば幸いです。
逆に短期売買を是とする人の意見も調べてみると面白いかも知れないね。
ここが有利だ長期投資(2点)
冒頭で述べた通り、有利な点はたった2つしかありません。
ただ、この2つがなかなかに強力な優位性である事はあらかじめ申し上げておきます。
実は投資対象を「早期不確実割り」で買えている
リターンに寄与する優位性は実のところコレだけ。
株式を例に説明します。
株価とは将来その企業が得られるであろう利益の総和で決まります。
ただし「得られるであろう」なので不確実です。
来年のトヨタの純利益をピッタリ言い当てられる人なんているかな?
天下の大企業でも未来の利益は不確実なんだね。
不確実な将来に大事なお金を投じるのだから、それなりの「うまみ」がなければ誰も長期投資なんてしません。
その「うまみ」こそがリスクプレミアム。
1年後に得られるであろう利益は現時点ではリスクプレミアム分だけ割り引かれているのです。
現時点である企業の株式を買う場合、
1年後の利益はリスクプレミアム分だけ割引き
2年後の利益はリスクプレミアム分だけ割引きの割引き
3年後の利益はリスクプレミアム分だけ割引きの割引きの割引き
4年後の(略)
これらを合計した値が株価のベースと考えられます。
つまり不確実であるゆえに株価には「不確実割り」が相当適用されている状態と言えます。
さらに先々の期待利益ほど割引きに次ぐ割引きで購入できるとも考えられるため、総合すると「早期不確実割り」と表現するのが妥当でしょうね。
長期投資の期待リターンがプラスなのはこの「早期不確実割り」が毎年少しずつ解消されていく過程が株価に織り込まれた結果、株価が上昇していくからです。
対してリスクプレミアムの機能しない短期売買の市場全体における期待リターンはゼロ(いわゆるゼロサム)です。
両者の差は年数を重ねるほどに大きくなるでしょう。
手間がかからず、日常を一切ジャマしない
こちらは継続に対する優位性です。
とにかく長期投資はほとんど何もしなくて済みます。
あなたの人生の重荷になるような事はないでしょう。
私なんかもネット証券にログインするのは月イチです。
そこで記録用に現時点の状況を集計して、今月の予算で買付を行う。
所要時間およそ15分、これが私が1か月で投資に割く時間です。
手間がかからないのはラクチン以外にも利点があります。
市場に近づかなくて済むのです。
暴騰時の「浮かれ祭り」、暴落時の「絶望祭り」に参加してしまうと感情を揺さぶられて非合理的な売買アクションをやりかねません。
ヘタを打つ可能性が低くなるのは案外侮りがたい利点であると言えるでしょう。
ここが不利だよ長期投資(2点)
不利な点も同じく2つ。
ただしどちらも軽減可能なので私はそこまで深刻に捉えてはいません。
投資対象の倒産リスクは受け入れなければならない
長期で企業に投資し続けるという事はその間に倒産の憂き目にあう可能性も高くなります。
短期売買なら倒産リスクはよほどタイミング悪くない限り背負う事はないので、長期投資の不利と言えるでしょう。
よって長期投資では一極集中は極めてリスキーであり、分散投資が必須となります。
数百銘柄(モノによっては数千銘柄)に分散する投資信託では倒産リスクはほぼゼロに薄まるため、私は正直あまり気にしていません。
ビジネスの風向きは山の天気より変わりやすい
リコール、不祥事、商売敵の発生・・・
どんな大手の企業にもこういった事態は起こり得ます。
個別の企業に何も起こらなくてもその業種全体に向かい風が吹く時もあるでしょう。
企業がこの先得られるであろう利益が減少すれば当然株価にも反映されますので、長期投資が報われない可能性も出てきます。
ただしある程度の振り幅なら前述の「早期不確実割り」にあらかじめ織り込まれています。
将来的に風向きが変わるかも知れない事だって不確実の一角なのです。
これまた十分に分散された投資信託であればこの「風向き変化リスク」も相当量減少可能です。
さいごに:有利と不利を天秤にかけよう
有利と不利を冷静に天秤にかけて、長期か短期かスタンスを決められたでしょうか。
私は長期投資が生活的にも性格的にも合っていると思い、ここ十数年長期投資を実践中です。
日常生活でそこまで市場の観測や投資材料の収集に時間を割けないもので。
どちらの「型」を選ぶも個人の自由ですが、
長期投資を選んだはずなのに市場に踊らされて気が付けば短期売買をしていた
短期売買を選んだはずなのに下がり過ぎた銘柄を「やっぱ長期投資だ」などと言って塩漬けにした
こういうのは避けましょう。
これは「型破り」じゃなくて単なる「型なし」です。
冒頭で述べた通り、私の見解だけでなく短期売買している人の見解を聞いてみても面白いでしょう。
色々な見解から自分なりの答えを見つけ出せる頃にはあなたはもう初心者を脱しているかも知れません。
以上、長期投資の有利不利についてでした。
【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは
愚者小路です。
まったくの投資ビギナーはどこから手を付けるべきか。
シンプルなようで奥深いテーマです。
私の答えはちょっと卑怯な気がしないでもないですが、投資する以前のところから考えてみるっていうのはどうでしょう。
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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