投資信託ビギナーの方向けの連載記事 第16回です。
連載を通して「右も左も分からない投資信託初心者が自分で投資信託を選び、ポートフォリオ運用を続けられるようになる」ことをゴールとしてナビゲートさせていただきます。
今回は少し脇道にそれた話題。
資産形成に取り組むにあたり何か有利な資格とかないかなと思った事はありますか?
かつてそう思った私が取得したのはFP技能検定2級。
どの程度役に立ったのか、ホントのところを白状します。
最初に結論:資格で運用パフォーマンスが上がるわけがない
そりゃそうですよ、FP2級取ってパフォーマンス上がるなら皆取ってますって。
詳しくは後で公式サイトのリンク等提示しますが、別に金融商品の賢い選び方が学べるわけでなし。
無資格者では思いつきもしないような節税テクニックが学べるわけでなし。
税金、相続、金融商品、不動産、贈与に関する原理原則を理解するための学習機会に過ぎません。
よって運用パフォーマンス向上に寄与するものではないのです。
ではFP業を目指すでもない一般人がFP技能検定2級を取得するのは無意味なのか?
私は「価値はともかく意味はある」とお答えします。
どんな意味なのかを述べる前に、まずはFP技能検定2級の学習範囲と私にとって役立った分野を解説するところから始めさせてください。
FP技能検定2級で何が学べるか
日本FP協会の公式サイト(上記)の記載通り、FP技能検定2級は下記6ジャンルで構成されています。
※以下解説は愚者小路の記憶に基づく個人解釈
- A ライフプランニングと資金計画
個人のライフプラン表を作成するために必要な知識。
年金や社会保険についてもここで学ぶ。 - B リスク管理
投資のリスクでなく、保険の話。
生命保険、損害保険、医療保険(特約の話含む)を学ぶ。 - C 金融資産運用
各種金融商品の概要、リスク、税金を学ぶ。
ポートフォリオ運用の基本もここで触れている。
個人のポートフォリオ運用程度ならこの知識だけで事足りる。
(きちんと理解/実践できればの話だが) - D タックスプランニング
メインは所得税算出の仕組み。
私は法人税などピンと来ない税は早々に忘れてしまった。 - E 不動産
不動産関連の法令や税金の仕組みがメイン。
正直、不動産ばっかり控除が充実しててズルいと思った。
(資格取得当時は証券関連の税制優遇あまりなかったから) - F 相続・事業承継
贈与税発生のボーダーラインから相続財産がどう評価されるかについて。
相続でもやたら贔屓される不動産。
「どうりで金持ちは不動産を持ちたがるわけだ」と納得したのを今でも覚えている。
出題範囲の中で資産運用に役立つもの
運用関連の話は「C 金融資産運用」に凝縮されています。
(不動産投資をする場合は「E 不動産」)
ただし金融資産にしても不動産にしても賢い選び方とか利回り上げるコツとか、そういうのはノータッチです。
FP技能検定の学習を通して特定の投資方法に誘導される事はありません。
あくまで仕組みを学ぶ事が目的なので。
中でも個人的に勉強になったと思うのはポートフォリオ運用の部分。
探してみたら過去問まとめてるサイト見つけたので出題レベルはこちらを参照してみてください。
ポートフォリオ運用ってわりと理屈がしっかりしてるから試験問題も深いところまで突っ込んで作られてる印象です。
知識に自身があればぜひ解いてみましょう。
意外と難解な問題もありますよ。
資産運用に役立たないけど学んでよかったと思えるもの
「D タックスプランニング」は今でも私の税金知識の基礎になってくれています。
所得の種類(給与所得とか事業所得、譲渡所得とか)から控除の種類まで、所得税算出の仕組みを一通り理解する事ができました。
もしFP技能検定対策で学習する機会がなければ、今でも税金関連は知識ほぼゼロだったはず。
毎年の年末調整や確定申告に対する苦手意識がなくなったのはFP技能検定のおかげだと確信しています。
所得税と住民税は算出の流れだけでも理解しておくと「税金アレルギー」がだいぶ和らぐよ!
こまごました部分は必要になり次第調べればいいんだし。
【愚者小路の失敗】資格の学校通ってコスト倒れ
私はFP技能検定2級の取得にあたり、学校に通いました。
かかった費用は10万円オーバー。
(当時の私はなかなか羽振りが良かったんでしょう。若かったし。)
FP業を営むつもりならまだしも、個人でリテラシー高めるために10万円オーバーの投資となると、さすがに元が取れるとは言い難いところがあります。
役に立ったんだよ。
マネーリテラシーも高まったのは間違いないの。
でもコストがかかり過ぎちゃったんだよねぇ。
当時は学校に通わないとどうにもならない気がしていたのですが、後々冷静になってみると独学でいけるレベルの話でした。
事実、調べてみると独学で合格に至った事例がいくらでも出てきます。
IT系の試験なんかは独学でサクサク合格しちゃうのに、不慣れなファイナンス系資格だと必要以上にビビって情弱モードになっていたのかも知れません。
学校通うと10万円オーバーに対し、独学なら書籍代で1万円もいかないでしょう。
資産運用に取り組む人がコスト度外視ではいけない!
・・・と当時の愚者小路青年に言ってやりたいです、ホントに。
マネーリテラシーを高めるための習い事として捉えてもいい
多くの人は学校で金融教育を受けてきませんでした。
今時の教育課程では家庭科で資産形成に関して学ぶ機会があるとは聞きますが、家庭科そのもののウェイトを考えると正直たかが知れています。
よって本来なら大人になった時点で備えておくべきお金の常識が大抵の人に欠乏してしまっています。
資格とは仕事に役立たせるばかりではありません。
ましてや人に見せびらかすばかりでもありません。
自分の中でひっそり咲き続ける資格だってあるのです。
足りない栄養を補うように、足りない知識を補うための習い事としてならFP技能検定は「価値はともかく意味はある」と私は断言します。
年金、税金、資産形成、その他お金に関する色々な事はどうやったって無関係ではいられません。
そういった諸々のマネーイベントを円滑に進める予備知識になるのなら、はたまた年金制度や各種控除など必要になり次第すぐに使えるようになるための記憶のブートストラップになるのなら、(独学程度の出費であれば)十分に元は取れます。
習い事として捉えるのなら目的はマネーリテラシーを高める事です。
書籍など学習してリテラシーが高まれば極端な話、試験を受けなくてもいいかも知れません。
誰かに知識の程を証明する必要がないのだから。
ちなみに全部の情報をネットで調べて完全無料で学習完了させる事もできそうですが、それはそれで時間対効果が悪くなりそうなのでよほど情報収集に自信ない限りは書籍購入しちゃった方が手っ取り早いでしょう。
さいごに:制度はどんどん変わっていくので必要に応じてアップデートしよう
私がFP技能検定2級を取ってからもう15年以上経ちました。
いずれの知識も根底からひっくり返るほどのアップデートは起きていませんが、細部では微調整が起きています。
たとえば所得税算出の流れ自体は変わっていないけど、累進課税の階段や各種控除の適用範囲はちょくちょく変わってきたし今後も変わっていくでしょう。
知識の引き出しから久々に引っ張り出した情報は使う前にきちんと裏取りをするように心がけたいものです。
以上、FP技能検定2級の話でした。
【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは
愚者小路です。
資産形成において仕事も大事、運用も大事。
人によっては「運用なんかにうつつを抜かしてないで仕事の稼ぎをアップさせればいいじゃないか」という主張もあるでしょう。
でも私はその主張に対し、どうも理屈と理想だけが上滑りしている感を抱かずにはいられないのです。
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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