今回の用語:ちゃぶつく
「ちゃぶつく」はタイミング投資を目論む人によく起こる現象です。
相場の見通しが全く噛み合わず、全ての判断が裏目に出てしまう相場あるあるの一つです。
証券会社のサイトによくある用語集にも普通に掲載されています。
私なんかはそういう予想を一切持ち込まないので「ちゃぶつき知らず」と言えるのですが、タイミング売買を是とする人には半ば宿命づけられた「ちゃぶつく」。
いったいどうしてちゃぶついてしまうのか?
今回はその理由を考察してみます。
「ちゃぶつく」が発生する3つの理由
ちゃぶつく理由1:「みんな」を拠り所にするから
みんなが買ってるから買おう。
みんなが売ってるから売ろう。
売買判断する時にみんなの顔色をうかがってから売買に乗り出す人は総じてタイミングがワンテンポ遅れてしまいがち。
既にみんなが買ってしまった後に動いてもそれ以上株価を押し上げてくれる人はもういません。
買ったそばから下落してしまうのは半ば必然と言えます。
こういうスタンスの人は情報に疎く、散々出回った情報を最後の最後でキャッチする情報末端者である事が多いです。
手にする全ての情報の鮮度に相当難があるにも関わらず、その情報が使い物になると信じて疑いません。
みんなの出方をうかがう前に、かつみんなが動く前に動くぐらいでないと情報で儲けるのは難しいでしょう。
ちゃぶつく理由2:高値覚えと安値覚え
過去の高値に到達したから下がるだろう。
過去の安値に到達したから上がるだろう。
チャートに全幅の信頼を寄せる人はこういう判断をしてしまいがち。
日経平均株価がバブル前の水準に達した時も「もうバブルだ!これから下がるに決まってる!」と熱弁する人が非常に多く現れました。
※当記事は達したちょっと後に書いたものなので、それからどうなったかは分かりません。
客観的にも納得しうる根拠があって言ってるのなら別にいいのだけど、単に「株価が以前の高値/安値に並んだから」はちょっと根拠が薄いよ。
「そっすか」で流されても文句言えないレベル。
過去の高値に到達した。
これは事実。
その事実と「だからこれから下がる」の間に論理の飛躍があるのですが、主張する本人は大マジメなためかける言葉に困ってしまいます。
あぁ、こういう時のために「それってあなたの感想ですよね?」って言葉があるのかも知れません。
前の高値の時と今とでは状況がまるっきり異なっていてもおかしくありません。
現在の株式の実質的な価値は?資金の流出入状況(要は需給)は?
それが指数やファンドの基準価額の話であれば、その構成内容すらだいぶ変わっているかも知れません。
その辺りを無視して株価だけで高値安値を勝手に断じて売買したところで、そんな判断ちゃぶついて当然でしょう。
昨日と同じ相場は未来永劫やってきません。
当たり前なのですが、当たり前すぎて多くの人が失念してしまうのでしょう。
ちゃぶつく理由3:待てない
高値を待って売ろうとか、安値を待って買おうとか、口で言うのは簡単です。
しかし実際にやってみるといつ来るか分からない高値安値を待ち続ける辛さが分かります。
特に辛いのは「安値を待って買おう」です。
投資に前向きでありながら現金をストロングホールドしている状態なので常に買いたくてウズウズしてしまうでしょう。
インフレ局面だと現金握ってる間もその貨幣価値がグングン薄まってくるのでウズウズに拍車がかかります。
その結果待てなくなると大抵の場合変なタイミングで買ってしまうもの。
しかも「待てなくて痺れを切らして買った」とは認めたくないので、ロジックを後付けで組み立てて、突貫工事で今買う理由をこしらえます。
最初にロジックありきならまだしも、感情的な行動ありきでロジックが後追いではちゃぶつくのも当然でしょう。
実は「ちゃぶつく」のがむしろ普通
先ほど「ちゃぶつく」3つの理由を述べました。
では逆にちゃぶつかないケースってどういう立ち回りか考えてみましょう。
下がると思って売りを入れたら的確に下がる。
上がると思って買いを入れたら的確に上がる。
要するに高値で売って安値で買い戻すような完璧ムーブです。
こんなの現実的にはそうそう起こり得ません。
図解してみましょう。
「高値で売って安値で買い戻す」を1サイクル行うだけで実はこれだけの分岐が存在します。
うまくいくパターンはそのうちのたった1つ。
全体像を冷静に眺めると、うまくいかないのがメインストリームであると分かるでしょう。
「タイミング無双」なんてそうそう実現できない
私が公開しているYouTubeチャンネルの初動画で取り上げたテーマがこの「高値で売って安値で買う」です。
動画ではそれを「タイミング無双」と呼び、いかに非現実的かを解説しています。
「ちゃぶつく」についても触れていますので最後に関連動画として紹介しておきます。
以上、「ちゃぶつく」の解説でした。
ありがとうございます。
次回もまた見てくださいね。
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