今回の用語:再現性
自分の投資スタンス/投資方法を確立させるにあたり、他の人のやり方を学ぶのは大事です。
まったくのゼロベースから組み立てていくより、先人の知恵を頼った方が手っ取り早いですからね。
ありがたいものでネット社会には多くの先人がいます。
- 既に投資を長年続けてこれている人
- 投資に成功している人(成功の定義は各自で決めてください)
こういった方々が自身の投資のやり方を公開している事は多いのですが、見聞きしたそばから憧れ先行でやり方を丸々コピーしてしまう前にやらなければならない事があります。
それは再現性の精査です。
どんな魅力的に感じるやり方も再現性がなければ、とても信頼に足るやり方とは言えません。
そこで今回は再現性のない投資方法にありがちな3つの特徴を解説していきます。
再現性のない投資方法、3つの特徴
1.明らかな運頼み
極端な話「お金が儲かる=投資の成功」だとすると、その辺で宝くじを買って億当てるのだって立派な投資と言えます。
でも多くの人は「そんなアホな」って思うでしょう。私もそう思います。
宝くじで億稼いだ人のアドバイスに従って当たりそうな売り場や当たりそうな日を狙ったところで「宝くず」を掴まされるのがオチでしょう。
つまりこの方法の中核を成す部分に明らかな運要素が介在しているため再現性はないと判断できるわけです。
説明のためにあえて極端な例を挙げましたが、もっともらしい投資方法でも冷静に評価すると相当量を運に委ねてしまっているケースが少なくありません。
投資は不確実性が伴うのでどうしても運が絡んでしまう部分はあるでしょう。
だからと言ってリスクに対し丸腰で立ち向かって「運が良ければ勝てる」みたいなやり方には不採用の判を押さなくてはなりません。
2.大きな上昇/下落相場に乗れただけ
2010年代半ば、いわゆるアベノミクス効果による大きな株価上昇がありました。
個人投資家でも大きく儲かった人が多く生まれ、「億り人」という言葉が生まれたのもこの辺りだったと記憶しています。
(愚者小路の見解です)
最近だと2020年コロナショック後の回復局面も大きな上昇相場で、これに乗れた人も多かったはずです。
私も乗ってると言えば乗っています。億り人なんてほど遠いですけど。
逆にコロナショックの暴落前にショートポジション(売りから入って株価が下がるほど儲かる)を取って大成功した人もいるでしょう。
では今後、アベノミクス相場やコロナ相場はまたやってくるでしょうか。
残念ながら昨日と同じ相場は未来永劫やってきません。
たまたま底値で仕込めた後に都合よく上昇相場がやってきてうまく儲ける事ができました、なんて武勇伝には再現性がありません。
これまた不採用の判を押してしまいましょう。
ただし一点注意があります。
例に挙げたような強気相場に乗れた理由はきちんと確認しておきたいところです。
価格変動リスクや感情リスクを抑えながら長期でどっしり構えていたからこそ強気相場をモノにできたとしたら、そのやり方は再現性ありと評価して良いでしょう。
マーケットに居続ければ強気相場は必ずモノにできるでしょうから。
もちろん、絶望的な弱気相場もセットで受け入れるので別に「いいとこ取りのリスクテイク」を実現しているわけではありません。
株式市場は強気相場と弱気相場が無慈悲に降り続けるフィールドだから、全てを受け入れる姿勢は投資家として当然だと言えるね。
3.やり方がロジックレベルまで落とし込めていない
いつ何を買ったか(売ったか)。
これはただの結果であり、何ら重要ではありません。
まるっきり同じ状況が来れば話は別ですが、先に述べた通り同じ相場は二度とやってこないのですから。
むしろ大切なのは結果に至る過程です。
どういうスタンスで何を考えて売買行動をしたか。
ここに第三者的には理解に苦しむような謎ルールやその場その場のフィーリングが大きく関与している場合、ロジックレベルまで落とし込めていないと評価できます。
ロジックレベルまで落とし込めていないやり方を無理に採用しても、大抵途中で「あれ?ここどうやるんだろう?」と疑問を解消できない問題にぶち当たります。
模倣できないやり方もまた、再現性なしとして不採用の判を押さざるを得ません。
お料理のレシピだってその通りにやって見本通りに完成しなかったらレシピとしての意味を成さないでしょう?
それと同じ。
ロジックレベルかどうかを判断するには、それがマニュアル化またはプログラム化できるかどうかを考えると良いでしょう。
詳細はこちらの記事をどうぞ。
シンプル投資はプログラム風に記述できる、という記事です。
完全な再現性を持つ投資方法は案外少ない
再現性のない投資方法を解説しましたが、むしろ再現性のある投資方法を解説してくれよと思った人もいるでしょう。
実は完全な再現性を持つ投資方法は、ないと言っても差し支えないぐらい少ないです。
インデックス投資をしていれば、どんな時もインデックス程度のリターンを得られる。
この程度の再現性が私の知り得る限界です。
株式の配当で着実にインカムゲインを積み上げるやり方だって翌年から急に無配になるかも知れないし、翌年もその企業があるか分からないので再現性ありとは言い難いでしょう。
なので現実的には完全な再現性を持つ方法を探すより、明らかに再現性に欠ける方法をゴミ箱に入れていく事になるでしょう。
さいごに
私が採用しているインデックスファンドによる国際分散投資は十分にロジックレベルまで落とし込めていると自負しています。
(私が発明した方法でないのでふんぞり返ったりはしませんが)
先に述べたようにインデックス運用自体も比較的再現性のある方法だし、ポートフォリオ運用にも説明に困るようなブラックボックス要素はありません。
私のやり方はこちらの連載記事で解説しています。
国際分散投資は多くの人にとって妥当な最適解になり得ますが、投資のやり方自体は人の数だけあって良いと思います。
それゆえネット上で推奨される方法も多岐に渡りますが、再現性の精査をする事で相当量を排除できるようになるのではないでしょうか。
以上、再現性の評価についての解説でした。
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