【検証＆考察】ChatGPTは投資分野の調べものや相談に役立つか？

はじめに

前提として、2023/03時点でChatGPTに質問した内容とその回答を取り上げています。
あなたがご覧になった時点で同じ回答を返すとは限りませんのでご了承ください。
ChatGPTはフリープランのものを使用しています。

結論急ぐ人もいるかも知れないので先に結論を述べておきましょう。
投資分野の調べものには使えません。
なぜなら一次情報の提示もなく、回答の真偽を判断できないからです。
文字通りChatが主眼で正しさは二の次なのでしょう。

利用前に覚悟しよう。ChatGPTの3つの傾向

こちらが入力した文章を解読し質問意図を探る能力と、即座に文章を組み立てて回答する能力は超一流です。
そこは素直に驚きましたし、賞賛に値するところです。

反面、あくまで今のところは会話に主眼を置いているようで、正しく答える力はまだまだ発展途上に感じました。
文章能力がケタはずれに高いせいで、かえって粗が目立つようになっているのかも知れません。
そんなChatGPTを利用するうえで絶対認識すべき、3つの傾向について解説します。

傾向１：情報不足は嘘で補う傾向あり

せっかくなのでワタクシ愚者小路が何者なのか質問してみましょう。
回答分中、赤字の部分が「真っ赤な嘘」です。

【愚者小路の質問】
愚者小路という投信ブロガーがネット上でどんな活動をしているか教えてください。

---

【ChatGPTの回答】
愚者小路（ぐしゃこうじ）さんは、日本の投資家・ブロガーで、主に投資に関する情報を発信している方です。彼は、自身が投資している投資信託や株式についての情報をブログで公開し、読者に投資のアイデアやノウハウを提供しています。

愚者小路さんのブログは、「愚者小路の投資信託日記」というタイトルで、2008年から運営しており、月間のPV数は50万を超える人気ブログです。また、YouTubeチャンネル「愚者小路の投信チャンネル」も運営しており、投資に関する情報を動画で発信しています。

愚者小路さんの情報発信には、個人的な経験や投資戦略に基づいたアドバイスが多く、読者からの評判も高いです。彼は、投資初心者から上級者まで、広い層の読者から支持されています。

出典：ChatGPTの回答

読みは（ぐしゃのこうじ）が正しいですし、ブログ名も「愚者小路の400字」が正解。
運営は2018年からだし、月間PV数は私自身あまり把握していませんが間違っても50万は絶対ありません。
Youtube配信もしていません。

おそらくChatGPTにとって愚者小路は存在しない扱いだったのでしょう。
「知りません」を言う代わりにとんでもない嘘でつないできたのが分かりました。

もう少し名の知れた人について聞いてみます。
カンさんはどうでしょうか。（投資信託クリニック代表：カン・チュンドさん）
メディア実績も多数、書籍も出版されてるので情報には困らないはず。

またしても真っ赤な嘘を赤字にしています。

【愚者小路の質問】
投資信託クリニックのカン・チュンド氏がどんな活動をしているか教えてください。

---

【ChatGPTの回答】
「投資信託クリニック」とは、投資信託に関する相談や教育、情報提供などを行う個人投資家向けの団体であり、カン・チュンド氏はその代表を務めています。

カン・チュンド氏は、日本でプロ野球選手として活躍した後、投資信託に興味を持ち、投資の勉強を始めました。その後、投資信託の情報や知識を共有するためのブログを開設し、人気投資ブロガーとして知られるようになりました。

2016年には、自身が運営するブログから発展して、投資信託クリニックを設立しました。同クリニックでは、個人投資家に向けた投資信託の相談や教育、情報提供を行い、投資の初心者から上級者まで幅広く対応しています。

カン・チュンド氏は、投資信託の情報発信や啓蒙活動を積極的に行い、個人投資家の投資力の向上に貢献しています。また、書籍の出版や投資セミナーの開催など、幅広いメディアで活躍しています。

出典：ChatGPTの回答

ずいぶんぶっ飛んだ回答が来ましたね。
カンさんは20代の頃不動産関連の仕事をされていたと聞いています。

長らくメルマガやブログを拝読してきましたがプロ野球選手の経歴なんて微塵もありませんよ。
そのうえ最初にブログありきで、ブログが高じていきなり投資信託クリニック設立に至ったと。これも嘘。

実際は「晋陽FP事務所」⇒「晋陽FPオフィス」⇒「投資信託クリニック」と屋号が変遷しています。
（しかも「投資信託クリニック」になったのは2019年と記憶しています）
ブログはそのビジネス活動の一環として運営されている形です。

ここまで来ると合っている部分すら確信ありきなのか偶然合っているのか分からなくなってきます。

試しに実在しない人について質問してもよどみなく嘘を連ねて回答してくれます。
もう嘘を赤字にはしません。やったら全部真っ赤だもの。

【愚者小路の質問】
愚者小路という空手家について教えてください。

---

【ChatGPTの回答】
「愚者小路」は、日本の空手家であり、空手道愚心流の創始者として知られています。
本名は藤田信之助で、1890年に福岡県で生まれました。幼少期に病弱だったため、強くなることを決意し、1914年に上京して空手を始めました。当時、愚心流と呼ばれる流派があったことから、藤田はこの流派を研究し、自分なりの技術や理論を編み出しました。

1929年には、東京・吉祥寺に「愚心道場」を開き、空手指導にあたりました。その後、戦時中には空手の指導に従事し、戦後は「空手の父」と呼ばれる松林慶光らとともに、空手の普及に尽力しました。

愚者小路は、空手の技術を磨くだけでなく、人格の形成や礼儀作法なども重視し、道徳教育にも力を注いでいました。晩年は、空手道愚心流の継承者を指名し、1959年に死去しましたが、彼の教えは多くの人々に受け継がれ、空手道愚心流は現在も存続しています。

出典：ChatGPTの回答

どうやら「知りません」「そんな事実ありません」を口が裂けても言わないようチューニングされているようです。
足りない情報や不足している情報を類推や嘘でつなげてしまうので調べものには向かないと評価せざるを得ないでしょう。

傾向２：情報源を提示しない

次は投資に関する突っ込んだ質問をしてみます。

【愚者小路の質問】
eMAXIS Slim全世界株式の期待リターンと標準偏差を教えてください。

---

【ChatGPTの回答】
eMAXIS Slim全世界株式は、世界の主要国・地域の株式市場に投資するインデックスファンドです。現在の期待リターンや標準偏差は以下の通りです。

• 期待リターン: 5%~6%
• 標準偏差: 約15%~20%

ただし、投資先の市場環境や経済情勢などによって、実際のリターンや標準偏差は変動する可能性があります。また、過去の実績や将来の見通しに基づく予測値であり、確実なものではありませんので、投資をする際には自己責任でご判断ください。

出典：ChatGPTの回答

おや？今回はずいぶんそれらしき回答が得られました。
期待リターンも長期で見れば概ねその程度でしょうし、ウェルスアドバイザーによると過去3年の標準偏差は17.89とあながち現実離れしていません。
※「ウェルスアドバイザー」はモーニングスターの新名称です。執筆時点で公式サイト切り替わり期だったためリンクの提示は控えさせてください。

ただこの回答も情報源がありません。
ファンド関連の質問であれば「三菱UFJ国際投信公式ページの運用レポートによると・・・」とかの一文やURLの提示でもあれば真偽の程を判別できます。
漠然と数値だけ出てもその根拠に相当するものがなければ、この情報は利用できません。

このようにChatGPTは一次情報を提示しないという弱点があります。
前述の「嘘でつなぐ傾向」を考えると、「ChatGPTがそう言ってたから」と信じるのはちょっと難しいでしょう。

投資判断は絶対に提言しない

【愚者小路の質問】
国内株式で明日買うべき銘柄を教えてください。

---

【ChatGPTの回答】
私は、投資アドバイスを提供することはできません。市場の変動や銘柄の予想を含め、投資判断は投資家ご自身の判断と責任で行うべきです。投資は、過去の実績や将来の見通しだけでなく、リスクや自分自身の投資目的、投資スタイルに合わせた個別の判断が必要です。投資に関する決定をする前に、投資に関するリスクについて十分に理解し、投資に十分な情報収集を行い、投資に関する専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

出典：ChatGPTの回答

Yahoo知恵袋を見ていると安易に売買判断を求める質問を多々見かけます。
自分では判断できないため他人に決めてほしいとするニーズはあるのでしょう。
良し悪しで言えば圧倒的に「悪し」ですけど。

上記の質問はそんな質問者になりきって投げかけてみました。
どうやら投資助言に抵触しそうな事は絶対に答えないよう調整されていそうな回答ぶりです。
おそらくですが医療分野に関しても「診断」には絶対踏み込まないはず。

何にせよ、ChatGPTに意思決定を丸投げする事は出来なさそうです。

結論：調べものには（現時点では）使えない

ChatGPTを利用するうえでネックとなるのは何と言っても「嘘」。
回答の信頼性がイマイチな時点で調べものには使えません。
尋ねるにしても、自分で真偽を把握できる事に限られます。
（その時点で聞く意味なんてない）

文字通りChatGPTですからね、現バージョンはあくまでお喋り特化なのでしょう。
日常会話なら成立させる能力は十分にありますが、情報の裏付けが必須となる投資関連のやり取りはむしろChatGPTにとって最も苦手とするところなのかも知れません。

せめてセンテンスごとに確度に応じた背景色をつけるとかしてくれれば、ある程度受け手で汲み取れるのですけど。

「インプット発生マシン」として簡易ブレストに使えるかも

ネガティブな筆致になってしまいましたが、使い道は十分すぎるほどあります。
何かを考える際の簡易ブレインストーミングには役立ってくれます。

たとえば私がブログのネタに困っていたとしましょう。

【愚者小路の質問】
投資信託に関するブログを運営しています。何か記事にできそうなネタはありますか？

---

【ChatGPTの回答】
投資信託に関する記事には、様々なトピックがありますが、以下にいくつかのアイデアを提供します：

1. 投資信託の種類と特徴：投資信託には、株式、債券、不動産、商品などの種類があります。それぞれの特徴やリスクについて解説し、どのような投資家に向いているかを説明する記事を書くことができます。

～以下略～

出典：ChatGPTの回答

ネタをいくつか出してくれますが、ベタ過ぎる感じがしてどうもしっくり来ません。
もっと初心者がよくハマりがちな勘違い的なネタはないものかと思ったら追加でフランクに聞けます。

【愚者小路の質問】
他に投資信託初心者がハマりがちな間違いや勘違いに関するネタはありますか？

---

【ChatGPTの回答】
はい、投資信託初心者がハマりがちな間違いや勘違いに関するネタには、以下のようなものがあります：

1. 過度な期待：初めての投資信託に取り組むと、将来的に高いリターンを得られると期待しやすいです。しかし、投資信託は株式市場の変動に影響されるため、その値動きは不確定なものです。初心者が失敗しがちなのは、過度な期待を持ってしまうことです。

～以下略～

---

【愚者小路の質問】
投資信託初心者はどうして資産運用に対し過度な期待を抱いてしまうのだと思いますか？

---

【ChatGPTの回答】
投資信託初心者が資産運用に対して過度な期待を抱く理由は、以下のようなものが考えられます。

1. メディアの影響：一部のメディアは、高いリターンを約束する投資信託に焦点を当てています。これによって、初心者投資家は高いリターンを期待するようになります。

～以下略～

出典：ChatGPTの回答

人の思考はインプットさえ与えるとドミノ的にパタパタと進み始めるものです。
的を射るかは分かりませんがインプットをたくさん発生させて思考を活性化させる一手段としてChatGPTが役に立ってくれるでしょう。

さいごに

ChatGPTの回答性能について検証と考察しました。
これからもっと進化していくであろう事を考えると、テクノロジー好きの私はワクワクが止まりません。

何が出来て、何が出来ないのかをきちんと線引きしたうえで賢く使っていきましょう。

【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは

↑いつもランキング向上にご協力ありがとうございます！

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

・・・なんて機能はないけれど、本件と関連が深い記事です。
もう1ページ、いかがですか？