【中編】移管は突然に!?iDeCoから企業型DCになって損した投資家、悲劇の全容を語る

【中編】私はこうしてiDeCoから企業型DCへの移管手続きを行いました(リアル体験談) 【連載】愚者小路、渦中の現場から。
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愚者小路
愚者小路

今回はiDeCoから企業型DCへの移管をすることになってしまった私が実際にやった移管手続きについて。


私は一つミスをしたせいで、余計なコストが発生してしまいました。
もしあなたが移管することになったら、私と同じ轍は踏まないで欲しいと切に願います。

移管は突然に!?
iDeCoから企業型DCになって損した投資家、悲劇の全容を語る

以下の手続きは2019年に私が実際に行ったものです。
「当時の記録」「参考情報」程度にお読みください。

あくまで私の事例でしか語れないため、各種書類の名前も事業所や金融機関によって若干異なる可能性があります。
これから移管手続きされる際は自身で現時点の情報を調べたうえ、事業所や金融機関の指示に従うようお願いします。

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私はこうしてiDeCoから企業型DCへの移管手続きを行いました

移管に必要な手続きは、ざっくり分けて2種類。

  • 企業型DC移管先の事業所(会社)に対し、企業型DCを開始する手続きを取る
  • iDeCoを利用している金融機関(〇〇証券、〇〇銀行)に対し、iDeCoを停止する手続きを取る

重要なポイントは1つだけ。

事業所への手続きと金融機関への手続きを可能な限り同時に始めること
(私はこれを忘れたせいで無駄コストを支払うハメになってしまいました)

以上の前提を踏まえてお読みいただくと分かりやすいかと思います。

【事業所へ】企業型DC開始手続きをしよう

事業所に企業型DC開始に関する書類を提出します。
事業所とは我々社員を雇用している会社を指します。

私の事例で手続きを時系列で追っていきましょう。
【前編】の背景をおさらいしておくと、私が新しい会社に移籍した2019年4月がスタート地点ですが、各種手続きは少し遅れて2019年6月から開始しています。

【2019年6月】同意書と拠出金配分指定書

同意書には、運用商品やリスクについての説明を受けたこと、個人情報利用について同意したことをチェック&署名します。
ちなみに私が同意しないでも、2019年5月の時点で事業所側の拠出は始まっていました

この同意にどれほどの意味があったのか、今でも分かりません。

次に拠出金配分指定書では商品選択と拠出割合を記載します。
iDeCoの申込時(わずか数か月前)に書いた経験があるので私はスラスラ書けましたが、他の方は苦労されていたようです。
いきなり商品ラインナップの一覧見せられて「さぁ、どれにする?」なんて、戸惑って当然でしょう。

商品を選択しないと元本確保型商品にさせられてしまうと認識していましたが、そうでもなかったようで。
運営管理機関であるりそな銀行の商品パンフによると商品を指定しない場合は「現金相当で管理」されるとのこと。
下記、パンフの原文です。

配分指定が行われない場合、「未指図資産」として、現金相当で管理され、運用されないままの状態となります。
老後の資産形成に影響が生じる可能性がありますので、必ず運用指図を行ってください。

出典:りそな銀行の確定拠出年金制度・運用商品ガイドより

商品ラインナップの詳細は【後編】で解説します。

【2019年7月】加入者掛金の拠出開始申出書

私の移籍先ではマッチング拠出を採用していました。
事業所側の拠出額に上乗せで拠出することができ、従業員側の掛金はiDeCoと同様に所得控除の対象となります。

いつでも拠出開始できるわけではなく、私の場合チャンスは年2回しかありませんでした。
他の事業所でも同様と思われるので、いつから拠出開始できるのかは前もって確認しておくのがベターです。

加入者掛金の拠出開始申出書を即座に提出できたため、翌月の2019年8月からマッチング拠出開始となりました。

【2019年8月】確定拠出年金 個人別管理資産移管依頼書

愚者小路
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名前が長いっ!
以下「移管依頼書」と呼びます。

移籍時にiDeCoに加入していた人は移管依頼書を提出しなければなりません。
私の場合はマネックス証券のiDeCo口座からりそな銀行の企業型DC口座に移管するためです。

移管依頼書には契約番号・企業番号・従業員番号など分かりにくい情報が多いので、記入に困ったら事業所に聞いちゃった方が早いでしょう。

冒頭からちょいちょい話していた「私のミス」はココで発生しました。
移管依頼書さえ出せばあとは滞りなく資産の移管がなされると思っていたんです。

愚者小路
愚者小路

いやぁ、滞りましたよ。
この時点で私、iDeCoを止めていなかったのです・・・

【iDeCoの金融機関へ】資格喪失手続きを忘れたばっかりに

【2019年8月】iDeCo開設側に資格喪失手続き

先に述べた通り、移管依頼書さえ出せば移管元⇔移管先で融通きかせて資産を移してくれると思っていたのが大間違い。
iDeCoの停止手続きを失念していたせいで「移管元を停止していないせいで移管できないんですけど」という旨の郵便物が届きました。

慌ててiDeCo開設側であるマネックス証券に電話しました。

最初はWeb上で手続きできないか探してみたけど、開設手続きは大々的に記載しているのに停止手続きは全然見つけられなくて、「もう電話の方が早いわ」という結論に至りました。
(確定拠出年金に限らず、Webサービス利用あるあるですね)

電話で状況を説明のうえ、マネックス証券から「加入者資格喪失届」を郵送してもらいました。
加入者資格喪失届に事業所の記入・捺印をもらってどうにか手続きを完了させました。

加入者資格喪失届がきちんと受理されれば、保留中になっている移管ができるようになるはずです。

iDeCoと企業型DCの重複拠出には還付と還付手数料が発生する(ことがある)

私がiDeCoの資格停止手続きをモタついていたばかりに、iDeCoと企業型DCで同時に拠出していた時期が発生してしまいました。

iDeCoと企業型DCの重複拠出期間
iDeCoと企業型DCで拠出が重複してしまっている。これはどう処理されるのかな?の図

企業型DCの拠出開始となった5月から、iDeCoの停止処理をした8月の手前まで、5月6月7月の3か月分が重複拠出期間となっています。
ではこの過剰拠出分はどういう扱いになるのでしょうか?

マネックス証券に資格喪失の件で電話した時、気になって質問してみたところ玉虫色の回答をいただきました。

「拠出が重複した分については還付されることがある

断言できない背景は分かりませんが、私の場合は後日還付されました。
拠出した者勝ちで、余計に所得控除してもらえる可能性も想定していたのですがそんな甘くありませんでした。
本来60歳まで引き出せないはずの確定拠出年金において、一部とはいえ掛金が即座に返ってくるとは珍しい体験です。

ただし掛金還付には問題がありまして、決して安からぬ手数料が発生してしまうのです。
国民年金基金連合会手数料と振込手数料を合計して1488円(税込)。

iDeCoの還付手数料
注意!iDeCoの資格喪失手続きをモタモタしていると、還付手数料という名のペナルティが発生してしまいます。の図(画面はマネックス証券より)

重複拠出の3か月分、60000円の還付におよそ1500円とは。
元本に対するコストの比率が2.5%って、ぼったくりファンドの購入時手数料並みです。
せっかく低コストのファンドを選んで運用していたのに、信託報酬の数年分を一気に持っていかれてしまいました。

愚者小路
愚者小路

手続きの全容を理解していなかった自分のせいとは言え、意味のないコストほど凹むものはないね。

還付コストの発生は、資格喪失手続きが遅れたことに対するペナルティとも言うべき「不要な痛み」です。

賢明なあなたが企業型DCに移管する事になったら、真っ先にiDeCoの停止をしてください。
マヌケな私の事例が反面教師となれば、私のミスも少しは報われることでしょう。

実はiDeCo公式サイトでも、真っ先にiDeCo停止をするよう記載されていました。
全てが終わった後から読めば「そういう事ね」と分かるのですが、知識ゼロの状態から読んできちんと頭に残るかは大いに疑問です。

就職(転職)先の企業型確定拠出年金に移換

加入者資格の喪失、及び資産の移換の手続きが必要です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者の資格を喪失することになりますので、速やかに「加入者資格喪失届 (K-015)」に、加入者の資格を喪失した理由及び喪失年月日を証明する書類を添付して、運営管理機関にご提出ください

出典:iDeCo公式サイト「iDeCoに加入されていた方」より

【2019年11月】移管完了。これで全手続きは終わり。

ドタバタの末、やっと移管が完了しました。
商品も選んだし、マッチング拠出も開始したし、資産も移管したし、これで手続きは全て完了しました。

結果としてiDeCoから企業型DCへの移管に半年近くかかってしまいました。
これで1年足らずで退職とか、また他の企業に吸収合併とかなったらもう笑い話にもなりません。

振り返りとして、私の企業型DC口座の残高推移をお見せします。
事業所側の拠出開始からiDeCo資産の移管まで、一目で分かるので参考にどうぞ。

企業型DCの拠出開始から移管完了までの残高推移
企業型DCの拠出開始から移管完了までの残高推移 の図
残高推移の補足
  • 2019/05:事業所の拠出開始により月3000円ずつ増え始める
  • 2019/08:マッチング拠出開始により月6000円ずつ増えるようになる
  • 2019/11:iDeCo口座から1月~4月まで拠出した残高が反映された

【後日談:2019年10月~11月】iDeCoの小規模企業共済等掛金払込証明書が2枚届いた

小規模企業共済等掛金払込証明書(以下「払込証明書」)とは、iDeCoの所得控除を受けるために必要な証明書です。
これを事業所に出さないと事業所側では所得控除を処理してくれません。
(後から自身で確定申告すれば控除可能です)

先に述べた通り重複拠出分の還付があったため、私の元に還付適用前バージョンと適用後バージョンが時間差で届いてしまいました。
実際の画像がこちら。

小規模企業共済等掛金払込証明書の還付適用前後バージョン
小規模企業共済等掛金払込証明書の還付適用前後バージョン の図

前後比較すると5月6月7月分が還付(遡及喪失)としてゼロに改められていることが分かりますね。
資格喪失手続きが遅れたせいでこんな所でも国民年金基金連合会に余計なお手間を取らせてしまいました。
重ね重ね、申し訳なく思います。


愚者小路
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以上、iDeCoから企業型DCへの移管手続きでした。

【参考】他のブロガーさんも移管手続きに苦労なさったようです

最後に他のブロガーさんの移管手続き奮戦記を紹介します。
大変だし面倒だと思っていたのは私だけではなかったようですね。

※当連載のまとめ記事はこちら
【連載記事一覧】愚者小路、渦中の現場から。

【次回予告】さーて、次回の愚者小路さんは

愚者小路
愚者小路

愚者小路です。


企業型DCに移管することで多くの損失や不都合が発生しました。
逆に利益やメリットになるような事は・・・残念ながら一つもありませんでした。

ありがとうございます。

次回もまた見てくださいね。

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